妊娠中の禁煙:いつやめても意味がある理由と進め方
妊娠がわかってからでも、安定期に入ってからでも、やめた時点から赤ちゃんに届く酸素は増えます。妊娠中の喫煙でわかっていること、助産師や産婦人科医への相談の仕方、産後に戻らないための準備をまとめました。
かんたんな答え
妊娠中のどの時期にやめても意味があります。早いほど効果は大きいものの、後期にやめた場合でも赤ちゃんの体重や早産のリスクに違いが出ることがわかっています(CDC、NHS)。禁煙して1〜2日で血中の一酸化炭素が下がり、赤ちゃんに届く酸素の量が戻り始めます。薬を使うかどうかは、必ず産婦人科医か助産師に相談してください。
妊娠中のどの時期にやめても、意味があります。早いほど効果は大きいのは確かですが、妊娠後期にやめた場合でも赤ちゃんの体重や早産のリスクに違いが出ることが確認されています(CDC、NHS)。
そして変化は、待たずに始まります。やめてから1〜2日で血中の一酸化炭素が下がり、胎盤を通じて赤ちゃんに届く酸素の量が戻り始めます。「もう遅い」という時期は、この話には存在しません。
吸い続けた場合に何が起きるのか
責めるためではなく、判断の材料として並べます。妊娠中の喫煙は、次のことと関連づけられています(CDC、NHSなど)。
- 低出生体重(赤ちゃんが小さく生まれる)
- 早産
- 流産、死産のリスク上昇
- 胎盤の異常(常位胎盤早期剥離など)
- 一部の先天異常(口唇口蓋裂など)
- 出生後の乳幼児突然死症候群(SIDS)のリスク上昇
仕組みとして大きいのは2つです。ひとつは一酸化炭素で、これは血液が酸素を運ぶのを邪魔します。もうひとつはニコチンで、血管を収縮させ、胎盤への血流を減らします。つまり、吸うたびに赤ちゃんに届く酸素と栄養が一時的に細くなります。
逆に言えば、やめた時点でこの2つは止まります。だから効果が早いのです。
助産師や産婦人科医にどう相談するか
多くの人がここでつまずきます。正直に言えば責められるのではないか、母子健康手帳に何か残るのではないか、と。
伝えてかまいません。医療者は判断を下すためではなく、必要な支援を選ぶために聞いています。実際、正確な本数がわかっているほうが、受けられる支援は具体的になります。
言い方は事実だけで十分です。
- 「1日◯本吸っています。やめたいので、方法を相談したいです」
- 「減らしている途中で、いまは1日◯本まで下がっています」
- 「やめたのに、先週2本吸ってしまいました」
最後の形が言える相手を持っているかどうかが、産後まで含めた結果を大きく左右します。
電子タバコやニコチン製剤はどうするか
基本は、ニコチンを使わずにやめることです。 ニコチンそのものが胎児の発育にとって望ましくないためです。加熱式タバコや電子タバコも、妊娠中の安全性が確認された選択肢ではありません。
そのうえで、どうしてもやめられない場合にニコチン製剤(パッチやガム)を使う選択肢があるかどうかは、妊娠週数、体調、これまでの経過によって判断が変わります。自己判断で始めず、必ず産婦人科医か助産師に相談してください。 市販薬であっても、この時期は相談が先です。
薬を使わない方法の効果もはっきりしています。行動面の支援を受けた人のほうが妊娠中の禁煙率が高いことは、コクラン・レビューでも一貫して示されています。相談することは、根性論の代わりではなく、根拠のある方法のひとつです。
加熱式タバコに変えるのはどうですか?
加熱式タバコは燃焼させないため、タールや一酸化炭素の量は紙巻きより少なくなります。ただし、ニコチンはそのまま残ります。妊娠中に問題になる仕組みのうち、血管を収縮させて胎盤への血流を減らす側は、切り替えても消えません。
そして、妊娠中の安全性を示すデータはありません。WHOも、加熱式タバコが健康被害を減らすという証拠は不十分だとしています。「紙巻きよりまし」は、妊娠中の判断基準としては弱すぎます。
目標はゼロに置いてください。そこへ向かう途中で本数を減らすのは有効ですが、安全な本数というものが示されているわけではありません。減らした人はその分深く吸い込む傾向があることも知られています。
妊娠中だからこそ効く3つの工夫
- つわりを味方にする。 においに敏感になる時期は、多くの人にとって最も禁煙しやすいタイミングです。すでに吸えていない日があるなら、そこを起点にしてください
- 引き金を書き出す。 朝の一本、食後、外出時、不安なとき。妊娠中は不安が引き金になりやすく、ここに代わりの行動を1つ決めておくと効きます
- パートナーと同時にやめる。 受動喫煙を減らすためだけでなく、ふたりで取り組んだほうが続くからです。家の中に一本もない状態をつくれるのは、この方法だけです
受動喫煙については、同じ部屋で吸わないだけでは足りません。低出生体重や早産、出生後の乳幼児突然死症候群のリスク上昇と関連づけられており(CDC)、衣服や室内に残る成分も指摘されています。ベランダで吸えば解決、という話ではないということです。
産後に戻ってしまわないために
妊娠中にやめた人が最も再喫煙しやすいのは、出産後の数か月です。理由もはっきりしています。妊娠という強い動機が終わり、睡眠が削られ、ストレスが増えるからです。
だからこそ、産む前に決めておいてください。
- 産後もやめ続けることを、いまの目標に含める
- 睡眠不足の時期に使える対処法を2つ決めておく(水、外の空気、5分の散歩)
- 授乳中もニコチンは母乳に移行することを知っておく
- つらくなったら、その場で医師や助産師、地域の保健師に相談する
Puff Counterは、やめた日からの経過と、その間に体で起きていることを日ごとに追えるようにしています。妊娠中は数字が動機になりやすい時期です。ただし、この時期の判断はすべて、あなたを診ている医師や助産師の意見が先にあるべきものです。アプリは、その間の毎日をつなぐ道具として使ってください。
よくある質問
妊娠後期に禁煙しても意味はありますか?
あります。早い時期にやめるほど効果は大きいものの、妊娠後期にやめた場合でも、出生体重や早産のリスクに違いが出ることが確認されています(CDC、NHS)。やめて1〜2日で血中の一酸化炭素が下がり、胎盤を通じて届く酸素の量が増えます。今日やめることに、遅すぎるという時期はありません。
妊娠中に本数を減らすだけでもいい?
減らすことは、吸い続けるよりは良い方向です。ただし、安全な本数というものは示されていません。減らした人はその分深く吸い込む傾向があることも知られています。目標はあくまでゼロに置き、そこへ向かう手段として減らす方法を使うのが現実的です。進め方は助産師や医師に相談してください。
妊娠中に電子タバコやニコチンパッチを使ってもいい?
自己判断で始めないでください。ニコチンそのものが胎児の発育に望ましくないため、妊娠中は使わずにやめるのが基本とされています。どうしてもやめられない場合にニコチン製剤を使う選択肢があるかどうかは、妊娠週数や体調によって判断が変わります。必ず産婦人科医または助産師に相談してください。
パートナーの喫煙は影響しますか?
します。受動喫煙は低出生体重や早産、出生後の乳幼児突然死症候群のリスク上昇と関連づけられています(CDC)。同じ部屋で吸わないだけでは不十分で、衣服や室内に残る成分も指摘されています。ふたりで同時にやめると成功率も上がるため、この時期は一緒に始めるのが合理的です。